プレゼントを渡すときに、いわゆるサプライズで渡すのは損である。
脳の報酬系が刺激されることによって人は嬉しい気持ちになるのだが、報酬系は利益を得たときだけでなく、利益の予告によっても刺激を受けるのである。
つまり、事前にプレゼントを渡すと予告しておけば、予告を受けたときに嬉しい気持ちになり、実際にプレゼントを手にしたときに再び嬉しい気持ちになる。さらには、予告から受け取るまでの期間に何度も思い出して嬉しい気持ちになることもあるだろう。
だから、サプライズで渡すよりも予告しておいた方が得なのだ。
プレゼント以外の方法でも同じことが成り立つ。
例えば、仕事や学校で「明日は休みにします」と言われるのではなく、1週間前に「来週の水曜日は休みにします」と言われたら、言われたときに嬉しくなり、当日までに何度か「水曜日は休みだ」と思い浮かべて嬉しくなり、もちろん当日も嬉しいはずだ。
利益の予告を使って報酬系を何度も刺激するという方法は、スマホゲームのガチャでも使われている。
ガチャを引いたとき、価値の高いアイテムが出ることを予告する確定演出というのがある。確定演出を見ると、プレイヤーは嬉しい気持ちになる。そして、実際に価値の高いアイテムが出たときに再び嬉しい気持ちになる。1回で2度、報酬系を刺激されているのだ。
スマホゲームの中には、ガチャで引いたアイテムを手に入れるときに、わざわざ「受け取る」というボタンを押させるものもある。これはボタンを押したときに、さらに報酬系が刺激される。1回のガチャで何度も報酬系を刺激するための狡猾なテクニックなのだ。
スマホゲームでいえば、イベントの予告なども報酬系を刺激するためだろう。予告があったときに楽しい気持ちになり、実際にイベントが始まった時に再び楽しい気持ちになれるのだ。
サプライズという手法は、テレビ番組やイベントを盛り上げるためのものである。相手を喜ばせたいとか、利益を与えることによって相手に気に入られたいという考えがあるのなら、サプライズではなく予告しておくべきなのだ。